会計情報トピックス 江島智
企業会計審議会監査部会が平成25年3月13日に「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定について」を公表
企業会計審議会監査部会は、昨年12月に公表した「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」について、寄せられた意見を参考に審議を行い、「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準(以下「不正リスク対応基準」)を公表しました。
1. 公開草案からの変更
表現の修正・明瞭化が主な変更で、公開草案の基本的な考え方の大きな変更はありません。様々な意見に対応して行われた変更の主なものは以下のとおりです。
(1)中間監査及び四半期レビューとの関係
公開草案では、中間監査及び四半期レビューとの関係が記載されていなかったため、「中間監査にも準用される」及び「四半期レビューには適用されない」が明記され、さらに中間監査については平成26年9月30日以後終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用することとされました。
(2)不正リスクに対応した監査計画の策定
財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合に、「抜き打ちの監査手続の実施」が記載されていましたが、「企業が想定しない要素を監査計画に組み込む」という、実務指針で使用されている表現に変更されました。
(3)不正リスクに対応して実施する確認
積極的確認を実施する場合に、回答がない又は回答が不十分なときに、「安易に代替的な手続に移行してはならない」とされていましたが、代替的な手続への移行に際して留意する点を明らかにするために「代替的な手続により十分かつ適切な監査証拠を入手できるか否かを慎重に判断しなければならない」に変更されました。
2. 監査実務指針の改訂
日本会計士協会では、「監査における不正リスク対応基準(仮称)(公開草案)」対応するために、平成25年2月28日に関連する監査基準委員会報告書の改正案の公開草案を公表し、平成25年3月27日まで意見募集を行っています。今後、寄せられた意見及び「監査における不正リスク対応基準(仮称)(公開草案)」からの変更を加味し、最終報告書が公表される予定となっています。