会計情報トピックス 吉田剛
企業会計基準委員会が平成23年3月18日に公表
企業会計基準委員会は、平成23年3月18日に改正実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」(以下「改正実務対応報告」という。)を公表しています。
改正実務対応報告では、同一の連結納税制度を適用している親子会社間で、連結法人税個別帰属額の授受を行わない場合の会計上(個別財務諸表上)の取扱いが示されています。
1. 改正実務対応報告の概要(改正実務対応報告 Q17)
平成22年度税制改正において、完全支配関係のある内国法人間での寄附金が全額益金不算入(受領法人)・損金不算入(支出法人)となったことに伴い、連結納税会社間で連結法人税個別帰属額の授受が行われない場合でも、寄附金として課税されないこととなりました。平成22年6月公表の改正実務対応報告第5号では、税制改正後も従来どおり各連結納税会社間の連結法人税個別帰属額を損益計算書上「法人税、住民税及び事業税」に含めるとともに、当該個別帰属額を貸借対照表上「未収入金(又は未払金)」として計上することとされました(改正前実務対応報告Q17)。
改正実務対応報告では、当該個別帰属額の授受が行われない場合の個別財務諸表における会計処理として、未収入金を計上する連結納税会社が、未払金を計上する連結納税会社に対し、その支払いを免除する決定を行い、相手方に意思表示を行ったときに、それぞれの会社で未収入金及び未払金の消滅を認識する処理が定められています。また、債務免除は親子関係に起因するものであり、課税当局との関係から発生したものではないことより、債務免除に係る損失と利益が営業外費用又は特別損失(もしくは営業外収益又は特別利益)に計上される定めが示されています。
なお、事業年度末に未収入金を計上すると見込まれる連結納税会社が、当該事業年度末日までに、未払金を計上すると見込まれる連結納税会社に対し、その支払いを免除する決定を行い、相手方に意思表示を行ったときは、当該事業年度に係る決算において、未収入金と未払金を計上した上で、それらの消滅を認識するとともに、債務免除に係る損失と利益をそれぞれの会社が計上することになります。
2. 改正実務対応報告の適用時期
平成23年3月31日以後終了する事業年度末から適用されます。なお、その適用については会計方針の変更とは取り扱われません。
3. 公開草案から修正された主な点
表現に係る修正を除いて、公開草案から修正が施された点はありません。
なお、本稿は改正実務対応報告の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。