会計監理レポート 井澤依子
日本公認会計士協会が平成21年7月9日付で公表
日本公認会計士協会は、平成21年7月9日付で会計制度委員会研究報告第13号「我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)-IAS第18号「収益」に照らした考察-」を公表しました。
わが国では収益の認識基準について明確な基準が存在していないため、協会では平成19年12月に会計制度委員会に収益認識専門委員会を設置し、同専門委員会において有価証券報告書の財務諸表の重要な会計方針に記載されている「収益及び費用の計上基準」の開示状況の調査をはじめ、主要な業種別の専門部会関係者からのヒアリング等により、収益認識に関する個別論点の洗い出し作業を行うとともに、具体的な会計処理および開示全般について国際会計基準(以下、IAS)第18号「収益」(注)に照らした検討等を行ってきました。この研究報告はその成果を取りまとめたものです。
(注) 現在、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同プロジェクトとして収益認識に関する検討を進めており、2008年12月19日にディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解」を公表し、2011年中に収益認識に関する会計基準の公表を予定しています。
1. 位置付け
本研究報告は、あくまで研究報告として協会の考え方を示したものであり、この公表により、収益認識に関し、これまでの実現主義の解釈の下で認められてきた会計処理から本研究報告に記載された会計処理への変更が強制されることはありません。このため、本研究報告に記載された会計処理を採用しても「会計基準等の改正に伴う会計方針の採用又は変更」には該当しません。
2. 構成
「I 総論」(本文)において、本研究報告の性質等を説明した上で、わが国の実現主義の下での収益認識要件をより厳格に解釈した場合の考え方とIAS第18号とを比較した考察を行っています。また、「II 付録」においては、67の事例についてIAS第18号に照らした具体的な考察等を行っています。
3. 「Ⅰ 総論」の概要
(1)収益認識に関する考え方
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い |
IAS18に照らした考察 |
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(2)収益の表示方法(総額表示と純額表示)
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(3)収益の測定
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(4)複合取引
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(5)物品の販売
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(6)役務の提供
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(注) 「役務の提供の完了」要件をより厳格に解釈すると、受領した対価に対応する役務の内容・条件の識別が必ずしも十分ではない場合もあると考えられ、その場合にはIAS18と相違が生ずるものと考えられる。
(7)企業資産の第三者の利用(受取ロイヤルティーなど)
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(注) 受取ロイヤルティーの収益認識に当たっては、特に権利義務関係を勘案して「財貨の移転又は役務の提供の完了」要件に照らして判断することになる。当該要件をより厳格に解釈すると、受領した対価に対応する契約の内容・条件の識別が必ずしも十分ではない場合もあると考えられ、その場合にはIAS18と相違が生ずるものと考えられる。
(8)契約内容(権利義務関係)の明確化とそれに応じた会計処理
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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(9)収益の認識基準に関する開示
わが国の現状 |
IAS18の取り扱い | IAS18に照らした考察 |
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