会計監理レポート 金子裕子
企業会計基準委員会が平成20年12月26日に公表
平成20年3月に企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」が公表され、マネジメント・アプローチの考え方が導入されています。四半期財務諸表におけるセグメント情報等の開示を、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」に整合させるために、「四半期財務諸表に関する会計基準」および「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」が改正されました。
- 改正企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」
- 改正企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」
なお、本稿において意見にわたる部分については、執筆者の私見であり、当法人の公式見解ではありません。
1. 適用時期等
(1)平成22年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の第1四半期会計期間から適用します。なお、適用初年度においては、前年度の対応する四半期会計期間および累計期間に関する開示は不要です。
(2)適用初年度の第1四半期会計期間においては、次の①および②の記載が必要です。
① 報告セグメントの決定方法
② 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
2. 改正会計基準等のポイント
(1)四半期財務諸表におけるセグメント情報等に関する開示事項
年度に比べて開示内容は若干軽減されており、次の①~⑧を開示します。
① 報告セグメントの利益(または損失)および売上高
② 企業結合や事業分離などによりセグメント情報に係る報告セグメントの資産の金額に著しい変動があった場合には、その概要
③ 報告セグメントの利益(または損失)の合計額と四半期損益計算書の利益(または損失)計上額の差異調整に関する主な事項の概要
④ 報告セグメントの変更または事業セグメントの利益(または損失)の測定方法に重要な変更があった場合には、その内容
⑤ 当年度の第2四半期以降に④の変更があった場合には、第2四半期以降に変更した理由
⑥ 前年度において④の変更を行っており、かつ、前年度の四半期と当年度の四半期の報告セグメントの区分方法または利益(または損失)の測定方法との間に相違が見られる場合には、その旨および変更後の方法に基づく前年度の①および③の事項
⑦ 固定資産について重要な減損損失を認識した場合には、報告セグメント別の概要
⑧ のれんの金額に重要な影響を及ぼす事象(重要な負ののれんを認識する事象を含む)が生じた場合には、報告セグメント別の概要
(2)報告セグメントの変更または事業セグメントの利益(または損失)の測定方法に重要な変更があった場合に開示すべき内容
変更を行った四半期会計期間以後に、原則として、次の①および②の内容を開示します。
① 報告セグメントの変更
a. 量的な重要性の変化による報告セグメントとして開示する事業セグメントの範囲の変更
その旨および期首からの累計期間に係る報告セグメントの利益(または損失)および売上高の情報に与える影響を記載します。
b. 組織変更等、企業の管理手法が変更されたことによる報告セグメントの区分方法の変更
その旨および前年度の対応する期首からの累計期間について変更後の区分方法により作り直したセグメント情報に基づく報告セグメントの利益(または損失)および売上高の情報を記載します。
② 事業セグメントの利益(または損失)の測定方法の重要な変更
その旨、変更の理由および当該変更が期首からの累計期間に係る報告セグメントの利益(または損失)および売上高の情報に与えている影響を記載します。
本稿は「改正企業会計基準第12号『四半期財務諸表に関する会計基準』及び改正企業会計基準適用指針第14号『四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針』の公表」の概要および主な論点を記述したものであり、詳細については以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。