タイ出入国管理アラート:長期滞在査証 (LTR) 要件のアップデート

タイJBS タックスアラート‐2022年6月28日

出入国管理アラート:長期滞在査証 (LTR) 要件のアップデート

要旨

先日タイ閣議は、長期滞在査証 (Long-Term Resident Visa、以下LTR) の規則及び要件の改定を承認しました。他の種類の査証の年次更新要件とは異なり、LTRの申請資格者は最長10年間タイ国に滞在することが可能になります。

背景

下表は、対象となる外国人のカテゴリー、従来の要件及び改定された要件の概要です。

カテゴリー

従来の要件

改定された要件(2022年5月10日タイ閣議決定)

裕福なグローバル市民

1. 認定保険会社から、査証期間中10万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している。

1. 認定保険会社から、(資格証明書の発行日より)10カ月以上の5万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している、タイ国の社会保障制度による医療保険に加入している、又はタイ国もしくは外国の銀行口座に10万米ドル以上の預金を12カ月以上保有している。

2. タイ国債、外国直接投資 (Foreign direct investment、以下FDI)、又は不動産に50万米ドル以上の投資をしている。

2. 改定無し

3. 過去2年間に年間8万米ドル以上を稼得している。

3. 改定無し

4. 100万米ドル以上の資産を保有している。

4. 改定無し

裕福な年金生活者

1. 認定保険会社から、査証期間中10万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している。

1. 認定保険会社から、(資格証明書の発行日より)10カ月以上5万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している、タイ国の社会保障制度による医療保険に加入している、又はタイ国もしくは外国の銀行口座に10万米ドル以上の預金を12カ月以上保有している。

2. 50歳以上

2. 改定無し

3. タイ国債、外国直接投資(FDI)又は不動産に25万米ドル以上の投資をしている。

3. 改定無し

4. 年間4万米ドル、又は3.の投資が無い場合に8万米ドル以上の年金を有している。

4. 改定無し

タイ国で働く専門家
1)デジタルノマド
2)法人向けプログラム

1. 認定保険会社から、査証期間中10万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している。

1. 認定保険会社から、(資格証明書の発行日より)10カ月以上5万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している、タイ国の社会保障制度による医療保険に加入している、又はタイ国もしくは外国の銀行口座に10万米ドル以上の預金を12カ月以上保有している。

2. デジタルノマドの場合:3年以上事業を継続し、過去3年間の年間総収入が5,000万米ドル以上ある海外の上場会社又は非公開会社で勤務する。
法人向けプログラムの場合:年間収益が10億米ドル超の海外企業で勤務する。

2. デジタルノマドと法人向けプログラムの両方につき、3年以上事業を継続し、過去3年間の年間総収入が1億5,000万米ドル以上ある海外の上場会社、又は海外の非公開会社である。

3. 過去2年に年間8万米ドル以上を稼得している、又は修士号以上を有している、知的財産を所有している、もしくはシリーズA資金を受けている場合に、過去2年に年当たり4万米ドル以上を稼得している。

3. 改定無し

4. 5年以上の実務経験がある。

4. 改定無し

高度な技能を有する専門家

1. 認定保険会社から、査証期間中10万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している。

1. 認定保険会社から、(資格証明書の発行日より)10カ月以上5万米ドルの医療費を負担する医療保険を購入している、タイ国の社会保障制度による医療保険に加入している、又はタイ国もしくは外国の銀行口座に10万米ドル以上の預金を12カ月以上保有している。

2. 関連法令で定義される対象産業で勤務する高度な経験及び技能を有する専門家、又はタイ政府機関もしくは高等教育機関で勤務する専門家もしくは研究者。

2. 国内もしくは海外の企業と雇用契約もしくはサービス契約を結び、タイ国勤務を任命された専門家、又は高等教育機関、研究機関、専門研修機関もしくはタイ政府機関で勤務する専門家。専門家は、関連法令で定義される対象産業で勤務しなければならない。

3. 過去2年に年間8万米ドル以上を稼得している、又は修士号以上を持って、対象業界で5年以上の実務経験がある場合、過去2年に年間4万米ドル以上を稼得している。

3. 過去2年に年間8万米ドル以上を稼得している、又は科学又は技術分野の修士号以上、もしくはタイ国での赴任分野における専門知識を有する場合、過去2年に年間4万米ドル以上を稼得していること。退職後の科学又は技術の専門家の場合は、退職前2年間の個人所得が年間4万米ドルであったことを証明すること。高等教育機関、研究機関、専門研修機関又はタイ政府機関で勤務する専門家は、個人所得証明の提出要件が免除される。

4. 高等教育機関、研究機関、専門研修機関もしくはタイ政府機関に勤務している専門家、又は修士号以上の学位を持っている専門家を除き、過去10年間に対象産業で5年以上の実務経験を有する。

上記のカテゴリーの配偶者及び子も査証の対象となる

  • 子は20歳未満に限る
  • LTR査証保有者1人につき4人以下の扶養家族

改定無し

  • 政府手数料:申請者1人あたり5万バーツ(10万バーツから引き下げ)
特典
  • 4人のタイ人につき1人の外国人の比率要件の免除
  • 空港でのファストトラックサービス
  • 90日報告書を年間報告書に延長し、再入国許可を取得する要件を免除
  • タイ国における労働許可(デジタル労働許可証)
  • 裕福なグローバル市民、裕福な年金生活者、タイ国で働く専門家のカテゴリーにつき、海外源泉所得に係る個人所得税の免除
  • 高度な技能を有する専門家のカテゴリーにつき、個人所得税率の均一税率の17%
  • ワンストップ・サービス・センターにおける査証及び労働許可証の手続サービス
EYによる分析

LTR査証要件の改定は、経済成長及びタイランドデジタル4.0経済モデルの一部を促進するため、外国投資や有望な外国人をタイに誘致するというタイ政府の目的に沿ったものです。 LTR査証はワンストップ・サービス・センターを通じて手続きできるため、処理時間や官僚的手続が軽減されます。

LTR査証の改正規則及び要件はまだ確定しておらず、まだ変更される可能性があります。EYは今後も動向を注視し、状況をアップデートいたします。

※このタックスアラートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家に相談せず、税務計画のためだけに使用しないようご留意ください。

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EY Corporate Services Limited
33rd Floor, Lake Rajada Office Complex
193/136-137 Rajadapisek Road
Klongtoey, Bangkok 10110
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Tel: +66 2264 9090

 

ピープル・アドバイザリーサービス (PAS)
People Advisory Services (PAS)

ユパー・ウィチットクライソーン(パートナー)
Yupa Wichitkraisorn (Partner)
Tel:  +66 2264 9090 ext. 55003

シリポーン・タムウォンシン(パートナー)
Siriporn Thamwongsin (Partner)
Tel:  +66 2264 9090 ext. 77090

ワイ・プン・グー(アソシエート・ディレクター)
Wai Ph'ng Ng (Associate Director)
Tel:  +66 2264 9090 ext. 21025

プアンペット・ティーラワッタナノン(アソシエート・ディレクター)
Puangphet Theerawattananon (Associate Director)
Tel:  +66 2264 9090 ext. 21032

日本デスク
Japanese Business Services

山岡 耕志郎(アソシエート・パートナー)
Koshiro Yamaoka (Associate Partner)
Tel:  +66 2264 9090 ext. 54030

日付:2022年6月28日
Date: 28 June 2022

 

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