ジェンダー平等への一歩となる幼児教育改革
ジェンダー平等は、いくつかの州の予算における重要な特徴の1つです。パンデミックの初期は、女性がより多くの影響を受けていましたが、幸いなことに労働市場の回復は、比較的男女均等に進みました。現在、女性は経済回復をリードしており、パンデミック前と比較して、雇用、労働時間、労働参加率が堅調に増加しています。
しかし、まだ長い道のりがあります。世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」によると、オーストラリアは女性の経済参加率でカザフスタンやタンザニアなどに次いで70位にランクされています。女性の平均賃金は男性の86%で、これはオーストラリアの男女賃金格差が14%であることを意味します3。
ジェンダー平等の恩恵は、経済全体で受けることができます。ビクトリア州政府の調査によると、ジェンダーによる雇用格差が解消されれば、オーストラリアのGDPは11%成長し、指導的地位に女性が30%以上いる企業は、15%収益性が向上することが分かっています。さらに、女性の参画率が高まれば、一般的に言われているスキル人材不足の解消にもつながります。
各州の予算には、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州を筆頭に、ジェンダー平等の面で歓迎すべき政策がいくつか盛り込まれています。オーストラリアの2大州は、今後10年間で150億豪ドルを投じて、4歳児と5歳児に1年間の学校教育を新設するなど、幼児教育を改善します4。 この改革により、女性に多い育児の主な担い手が早期に仕事に復帰する、あるいはより早い段階でもっと多くの時間を仕事に割り当てることになるでしょう。ニューサウスウェールズ州では、30年から開始され、いわゆるキンダーガーテンの1年前に該当します。ビクトリア州では、25年から開始され、いわゆるプレップの前年に当たります。
その他の主な取り組みとしては、ニューサウスウェールズ州が、現在費用のかかる不妊治療を含む女性の健康のために1億2,000万豪ドル、ビクトリア州が女性の健康全般の改善への取り組みに9億4,000万豪ドルを投じたものがあります。ビクトリア州は、すべての公共政策と投資についてジェンダーへの影響を考慮するジェンダー対応予算の導入を決めた最初の州でもあります。また、南オーストラリア州は中小企業の女性支援に400万豪ドル、タスマニア州では、指導的立場にある女性の促進を含むジェンダーの多様性を高めるために380万豪ドルの資金提供、クイーンズランド州では家庭内暴力を含む女性の安全に関する一連の改革を導入するために3億6,300万豪ドルの資金提供を行います。